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今月5日で、細江地区を中心に甚大な被害をもたらした台風15号に伴う竜巻等災害の発生から、ちょうど1年を迎えます。
改めまして、この災害により被害に遭われたすべての皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
この1年間、本市は市民の皆様をはじめ、全国から寄せられた温かいご支援に支えられながら、復旧・復興に取り組んでまいりました。ご支援をいただきました皆様に、改めまして深く感謝申し上げます。
現在の復興状況は、被災された皆様への見守り支援と生活再建支援策の申請状況などを踏まえ、「6割を超えた程度」であると認識しております。
復興は着実に前進している一方、依然として課題は残されております。
令和7年9月5日12時50分頃、本市を襲った突風は、気象庁の調査により風速約75m/s、日本版改良藤田スケールでJEF3に該当する、観測史上最大級の猛烈な竜巻であったと判定されました。
一瞬にして市内の景色は一変し、電柱32本の倒壊、最大9,510世帯の停電、そして1,350棟に及ぶ住家被害、農業においても、本市の基幹産業であるお茶や施設園芸に甚大な被害が及び、農業用ハウス91棟の全壊、防霜ファン35基の倒壊が発生しました。
発災直後、市は直ちに災害対策本部を設置し、延べ38回にわたる災害対策本部会議を通じて迅速な意思決定に努めました。
災害対応において、発災直後の数分、数時間が生死を分けることを、私たちはこの竜巻等災害で再確認いたしました。
竜巻発生後、6分後の12時56分には職員へ現地パトロールを指示し、13時26分には災害対策本部を立ち上げ、避難所の開設指示、地区担当職員の派遣、災害救助法適用についての調整について指示を出しました。
13時30分には8隊の消防隊が被害の激しいエリアでの内部検索を開始し、同日18時までには全対象地域の安否確認を完了させました。救急車が不足する事態の中、市職員が、けがを負った市民を病院へ搬送するなど、現場の臨機応変な判断が、人的被害を最小限に食い止める大きな力となりました。
発災直後から、私たちは「被災者のことを常に考える」という共通理解のもと、職員一丸となって、スピード感をもって支援体制の構築に努めました。
その象徴が、「ワンストップ相談窓口」の開設です。罹災証明の発行から生活再建の相談までを一つの会場で受け付けるこの取り組みは、自治体と士業が連携した「全国初」の取組として高く評価され、その後に国の「災害救助事務取扱要領」の改正にもつながりました。
また、在宅避難者の生活実態を把握するため、災害派遣福祉チーム(DWAT)を早期に受け入れました。令和7年7月の災害救助法改正後、延べ196人の DWAT 隊員により、1,497件の個別訪問が行われ、「課題を発見する」だけでなく、「課題の解決につなげる」支援を進めることができました。
こうした取組は、全国に先駆けた事例となりました。
今回の未曾有の被害に対応するため、私は幾度となく国や県へ足を運び、直接支援を訴えてまいりました。
その結果、激甚災害の指定や特別交付税の措置など、復興を進めるための財政的・制度的基盤を整えることができました。
今後も、竜巻災害をはじめ、全国的に激甚化する自然災害から一日も早く復旧・復興ができるよう、必要な制度や支援の充実を、引き続き要望してまいります。
市民の皆様の生活を支える上で、災害ボランティアの皆様の力は欠かせないものでした。
市は発災当日に社会福祉協議会と連携して、即座に「災害ボランティアセンター」の設置を決定し、翌9月6日には開設を公表して、ボランティアの募集を開始しました。
これまで、延べ1,211人のボランティアの皆様にご協力いただき、がれきの撤去や家財の片づけなど、被災された方々の生活再建を支えていただきました。
特に今回は屋根瓦の飛散による被害が多く、消防署員と専門的な技術を持つNPO団体が連携し、高所での危険な瓦の撤去作業にも取り組みました。
消防と民間ボランティアが力を合わせたこの取り組みは、全国的にも注目される先進的な事例となりました。
本市が迅速に対応できた背景には、外部の知見を柔軟に受け入れる「受援体制」がありました。
発災直後の災害対策本部には、「静岡県被災者支援アドバイザー」に参加していただき、被災現場の状況を踏まえ、「今、何が一番必要なのか」という視点から、過去の被災地の事例を交えた指導・助言をいただきました。
そのことが、各部署がそれぞれで対応するのではなく、組織の垣根を越えた「全庁体制」での災害対応につながりました。
また、県内30市町、県外14の友好市町から派遣された延べ1,289人の応援職員の皆様にも、住家被害認定調査や避難所運営、相談窓口など、あらゆる場面で大きな力を貸していただきました。
市単独では困難だった1,350棟に及ぶ膨大な被害認定調査を概ね1か月で完了できたのも、全国各地からの応援があったからこそです。
市は現在、地域防災計画の風水害編において、これまで手薄であった「竜巻災害」の項目を拡充しています。
職員のマニュアルの再構築を行い、各班が実際に直面した課題を反映し、行動指針をより実践的なものへ見直しました。
また、全国初となった消防署員による高所作業支援や被災者生活再建支援システムの運用実績を正式な計画の一部として組み込みました。
一方で、課題もいまだ残っております。現在も、70世帯の皆様がみなし仮設住宅や県営住宅での生活を余儀なくされています。
また、市内で44件の建物がいまだブルーシートで覆われており、住まいの再編をはじめ、被災された方々の心のケアなど、 継続的な支援が必要です。
昨年12月には、長期化する生活再建を支えるため「牧之原市ささえあいセンター」を設置し、本年4月には復興に関する全庁的な調整を担う「復興支援室」を福祉こども部内に設置いたしました。
今後も、被災された一人ひとりに寄り添いながら、生活再建から地域の復興まで、切れ目のない支援を継続してまいります。
この1年間、全国の皆様からお寄せいただいた約1億9千万円もの温かい寄付をはじめ、そして応援職員、災害ボランティア、関係機関、団体の皆様からいただいた支援に改めて深く感謝を申し上げます。
「誰一人取り残さない」。この決意を胸に、被災された皆様とともにこの苦難を乗り越え、災害に強く、誰もが安心して暮らすことのできる牧之原市の構築に向けて、職員一丸となって全力で取り組んでまいります。
ここに、改めて復興への決意を申し上げ、市長コメントといたします。
令和8年9月2日
牧之原市長 杉本 基久雄
