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2月定例会の開会に当たり、令和4年度における施政方針について申し上げます。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まり2年が経ちました。
医療関係者をはじめ、市民、事業者の皆さまには、長期間わたる感染防止対策に、御理解、御協力いただいておりますことに感謝申し上げます。
現在、わが国は、オミクロン株による感染拡大に直面しており、現在、31都道府県に対して、まん延防止等重点措置が適用されております。当県は、1月27日から適用を受け、3月6日まで期間が延長されております。
市内においては、年明けから子どもや若い世代をはじめとして、家庭内での感染が広がるなど、まん延防止等重点措置期間に入ってからも感染の拡大が続いております。
市民の皆さまへは、感染リスクが高い場所への外出や、県境を跨ぐ不要不急の移動の自粛、飲食の際の感染防止の徹底、部活動やスポ-ツ少年団の活動の自粛などを要請しております。
また、当面の間、公共施設における利用人数の制限や開館時間の短縮をするとともに、学校等における早めの感染対策の実施、各種施設でのクラスター発生を防止するための検査や検査キットの配布、自宅療養者に対する食料品配布などを継続して実施しております。
新型コロナワクチンの3回目接種率は、2月22日現在、高齢者では68.54%、64歳以下では4.60%、全年代では24.70%となっております。
医療従事者や高齢者施設入所者等に続き、2月1日からは一般高齢者への接種を前倒して開始し、2月末の接種終了を見込んでおります。
64歳以下につきましても、国の更なる前倒し方針に基づき、当初の計画より2カ月早い、2月下旬からの接種が可能となっております。3月からは5歳から11歳の接種も予定しており、集団免疫獲得に向けワクチン接種を進めてまいります。
市政における一番の課題は若者の減少であります。
その克服に向けて、東名高速道路や空港、港など陸海空の交通インフラ、1兆円規模の製造品出荷額を誇るものづくりの力や、15キロメートルの海岸線、農林水産物など地域資源を活かした拠点の形成と、各拠点をつなぐ「富士山型ネットワークの充実」を進めてまいります。
まち全体の総合発展を進め、交流人口、関係人口の増加を図るとともに、サーフィンを楽しむライフスタイルなどの創出により、定住人口の確保に繋げてまいります。
また、当市の出生数は、10年前に比べ半減し、周辺市と比べて減少率が高い状況にあります。そのため、「日本一女性にやさしいまち」 の実現に向けて、子どもを持つ世帯、特に子育てをする母親目線での施策の充実に取り組み、若者世代の流出抑制、定住促進に繋げてまいります。
更には、国全体で2050年カーボンニュートラルに取り組む中、当市においてもゼロカーボンシティ宣言の実現に取り組んでまいります。省エネルギーや再生可能エネルギーの導入に市が率先して取り組むとともに、市民生活や産業分野への導入支援などによって、経済と環境の好循環の実現にチャレンジいたします。
これらの取組を進めるためには、行政サービスの効率化や、保有する公共資産を効果的に活用する必要があります。そのため、デジタル技術を活用した行政サービスの利便性向上や、公共施設マネジメントなどに力をいれてまいります。
相良牧之原インターチェンジ北側地区における高台開発につきましては、 土地区画整理事業に係る調査や設計等が完了し、土地所有者等の同意取得も最終段階に入っております。引き続き、地域の皆さまの御理解を得て、令和4年度からの事業着手に向けた準備を進めてまいります。
また、土地区画整理事業周辺への農地基盤整備と併せた宅地創出につきましては、真梨地区を対象に説明会と意向調査を実施いたしましたので、今後は、調査結果を踏まえた基礎調査を行ってまいります。
静波、相良、地頭方の3地区の特性を活かした沿岸部活性化につきましては、静波地区では静波サーフスタジアムを核とし た賑わいづくりを、相良地区ではライフセービングスポーツ競技の全日本合宿地への選定を契機とした安全安心な海岸運営 を、地頭方地区では海浜公園グラウンドの芝生化に着手してまいります。
各地域や関係者などの意向をふまえ、地域と一体となって、順次賑わいづくりを進めてまいります。
市民意識調査などにおいて子育て世代のニーズが高い、親子で遊べる施設の整備につきましては、既存施設の有効活用を含めて、こども館などの屋内型の子育て支援施設の充実を検討してまいります。
子育て支援センター相良と相良児童館の機能につきましては、ミルキーウェイスクエア内に移転・整備し、既存機能との複合利用によって、親子で利用しやすい環境の整備に取り組んでまいります。
公園機能の充実につきましては、駐車場が確保できている小堤山公園、油田の里公園、ふるさと体験の森の重点3公園において、それぞれの特色を活かし、親子で楽しく過ごせる公園の整備を進めてまいります。先ずは、公園再整備の計画づくり などから取り組んでまいります。
図書館につきましては、図書交流館「いこっと」が当初の目標来館者数である5万人を大幅に上回り、2月5日に10万人の来館者を達成いたしました。
榛原図書館につきましては、図書機能に係る市民ニーズに応えられるよう規模や機能を拡充するため、令和4年度は、施設改修の実施設計を進めてまいります。
女性の活躍につきましては、埼玉県草加市等で実績をあげている月3万円ビジネスを導入し、趣味や特技を活かして、子育てしながらやりたいことにチャレンジできる暮らし方、働き方を創出してまいります。
ミルキーウェイスクエア内のテスト販売や貸しスペースなどの交流機能、図書交流館「いこっと」などと連携して、自ら行動する意欲的な女性の活動の場を作り出し、女性目線での新しい産業やサービスの創出に繋げてまいります。
また、まきのはらサポートデスクにおきましても、女性相談員の配置や、女性のためのビジネスセミナーの開催などにより、女性事業者を支援してまいります。
出産への支援につきましては、従来からの、妊娠や出産に係る助成や、切れ目のない支援に加え、妊娠期に起こりやすい疾患に係る治療費の助成を新たに行い、安心して出産できる環境を充実してまいります。
出生数減少の背景となる晩婚化、未婚化への対応につきましては、令和3年11月に、県と県内市町によるふじのくに結婚応援協議会を設立し、婚活事業を行うふじのくに出会いサポートセンターの運営を開始いたしました。
今後は、AIによるマッチングシステムを活用した婚活事業を実施し、婚姻率の上昇に取り組んでまいります。
多目的体育館の整備につきましては、断熱性能の向上、高効率の空調・換気設備の導入、太陽光発電機器と蓄電池設備の導入などにより、エネルギー消費量を従来の建物と比べて75%以上削減する「NearlyZEB(ニアリー・ゼブ)」の認証取得に取り組んでおります。
この体育館へのZEBの認証取得は、県内初の事例であるため、当市のゼロカーボンシティの取組を県内外に大いにアピールできるものと考えております。
国が示す「みどりの食糧システム戦略」は、農業分野でのCO2ゼロエミッション化、化学肥料・農薬の低減などにより、環境負荷の低減と生産性の向上を促すものです。
農業ベンチャー企業と連携して、荒廃茶園の茶樹を原料にした炭素蓄積と、土壌改良効果がある資材を開発し、CO2排出権を創出する実証実験を行うとともに、バイオガス発電の原料となる作物の試験栽培も実施してまいります。
さらには、荒廃茶園などに、成長の早い樹木などを植え、CO2の吸収により温暖化の抑制を図るとともに、成木の出荷により、農家の所得向上に繋げてまいります。
この取組の実施に当たっては、関係者と協議会を立ち上げ、試験圃場の運営支援、転換作物の選定や採算性について調査、研究をしてまいります。
また、地域資源を活用し、革新的な技術やアイデアによって新産業を生み出すスタートアップ企業の支援に取り組んでまいります。
市内空き店舗などの活用や新たな事業展開の支援、スタートアップ企業と地域企業との連携を通じて、環境や農業分野などの地域課題の解決や、産業の活性化に繋げてまいります。
デジタル化の推進につきましては、アンケート調査や各種イベントの申し込みなど、身近な申請業務についてもペーパーレスなどのオンライン化を推進するとともに、2月28日には、窓口業務の委託業者であるグローバルデザイン株式会社と「デジタル技術を活用した行政窓口のDX推進協力に関する協定」を締結し、窓口業務の利便性の向上と効率化に努めてまいります。
また、情報通信技術を利用できる人とできない人との間に生じるデジタル格差、いわゆるデジタルデバイド対策として、スマホ体験教室や、自治会や団体向けの出張スマホ講座などを実施し、誰もがデジタル化の恩恵を受けられるようにしてまいります。
公共施設マネジメントにつきましては、施設ごとの個別計画に基づき、今後の人口動向や財政の見通し、市民ニーズなどに配慮しながら、施設総量の縮減、長寿命化対策の見直しなど中長期的な視点による検討を進めてまいります。
保育園の民営化につきましては、令和2年度末に社会福祉事業団を設立し、公立園の民営化を進めてまいりました。この民営化によって、ハードとソフトの両面から教育、保育環境の充実を図ることができます。
令和4年度には、静波保育園をこれまでの指定管理者である学校法人榛原学園に、菅山、萩間、勝間田保育園を社会福祉事業団による運営に移行いたします。
また、その他の公立園につきましても保育園等施設マネジメント計画に基づき、民営化を進めてまいります。
学校再編につきましては、平成29年度から教育の方針についての検討を始め、「牧之原市望ましい教育環境のあり方」に関する方針を作成いたしました。これを踏まえ、令和元年度からは、目指す学校像や学校区などの検討を、学校再編計画策定委員会によって行い、令和2年度末に同委員会から計画案の答申を受けました。
令和3年度には、この答申を基に、保護者、教員、地域住民などとの意見交換会を開催したところです。平成29年度からこれまでに、118回の市民参加の機会を設け、延べ4,000人以上に参加いただき、学校再編の検討を進めてまいりました。
今後は、計画案に対するパブリックコメントを踏まえ、令和3年度末までに学校再編計画を策定し、令和4年度には、施設の位置や機能、通学方法、教育の具体的な中身などに係る検討を進めてまいります。
また、学校跡地につきましては、立地の特性や利用ニーズなどを踏まえて、効果的な活用方法を検討してまいります。
ICT教育につきましては、一人一台の学習用端末を、授業や学校生活の様々な場面で活用しており、コロナ禍においても、持ち帰りによるオンライン学習の実施によって、リモート授業となった児童・生徒の学びの保障にも活用できました。
また、普通教室や特別教室などに大型ディスプレイを設置し、個々の端末を見るだけでなく、説明や発表、課題の共有など、教室の中で共に学び、考える学習に活用しております。
令和4年度は、ICT支援員による各学校の巡回により、授業などにおける更なる効果的な活用を進めてまいります。
先ず、「農業」についてであります。
現在、静波地区、朝生原地区の2つの地区において、農地中間管理機構関連農地基盤整備事業が実施されております。これは、農作業の省力化や効率化により、農業分野において脱炭素を進める取組でもあります。
静波地区は令和4年度に完了し、朝生原地区は令和7年度の完了を見込んでおります。令和4年度はこれらの地区に加え、須々木地区、鹿島・片浜地区、片浜磯田地区で事業計画や基本計画を作成し、基盤整備事業を推進してまいります。
坂部地区につきましては、富士山静岡空港が立地し、国内外からの集客を通じて当市の魅力を多くの方に知ってもらえる立地環境にあります。また、農援隊を結成し、新たな農業経営にチャレンジするなど、農業に熱心に取り組む地区でもあります。
当地に、市内の農産物の販売や情報発信の拠点となる道の駅を整備し、空港周辺の賑わいづくりや地域活性化、災害時の拠点として活用してまいります。
令和3年度末までに基本構想を策定し、令和4年度には基本計画に着手してまいります。
次に、「商工業」についてであります。
市内出身学生のUターン就職を誘導するため、令和3年度、就学ローンと賛同企業とのマッチングを組み合せた「RIDE ON MAKINOHARA おかえりプロジェクト」を立ち上げました。
引き続き、制度の周知に努めるとともに、企業情報の充実、インターンシップや合同企業説明会などによって登録事業者や登録学生の増加に努め、Uターン就職に繋げてまいります。
商工会の景況調査では、市内事業者の約7割の売上が減少しております。
特に飲食・宿泊業では、前年に比べ3割以上売上が減少した事業者が多く、回復の見通しは不明となっております。
新型コロナウイルスに対応した経済対策として、LINEアプリを活用した地域デジタルクーポンの発行や、誘客キャンペーンの実施など、飲食業、宿泊業を中心とした支援を行ってまいります。
スズキ株式会社相良工場の拡張事業計画につきましては、自動運転をはじめとする次世代自動車の研究・開発の拠点として相良工場を再整備するものです。市が策定する基本計画がほぼ完成したため、地元、地権者の皆さまに計画の概要を説明する
とともに、事業推進への御協力をお願いいたしました。
令和4年度の早い時期に、事業に関する基本協定書の締結ができるよう、現在スズキ株式会社及び県企業局との調整を進めております。また、本事業に伴い開発区域外の流末水路の測量設計等に着手する予定であります。
この相良工場の再整備を契機として、関連企業の誘致に繋げてまいります。
地方分散型サプライチェーンの再構築などの企業動向や、ウィズコロナ、ポストコロナにおける首都圏から地方への人の流れ、時間や空間に縛られないリモートワーク等の働き方に対応するため、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用して、カタショー・ワンラボにサテライトオフィスの機能を拡充することを検討しております。
1月26日に内閣府に対して事業採択の要望を行いましたので、採択されましたら、補正予算を計上してまいります。
国では、令和3年11月の経済対策に合わせて、デジタル田園都市国家構想推進交付金などの大規模な補助メニューを創設しておりますので、今後も国の予算確保や支援メニューの状況把握に努め、各種取り組みに積極的に活用してまいります。
L1堤防の整備につきましては、令和3年度の補正予算を含めて、海岸延長約15キロメートルのうち6.1キロメートル、約41%が完成する予定です。L2堤防につきましては、細江地区で国土交通省が実施しております粘り強い構造への整備の進捗とあわせて整備を進めてまいります。また、静波地区においては、一部事業用地の先行取得にも着手していく計画であります。
早期に防潮堤が完成し、市民の安心安全が確保されるよう、関係機関に要望してまいります。
消防館の整備につきましては、消防団組織等再編計画に基づき、社会情勢の変化や人口減少に対応し、消防団の効率的な活動に資するよう、消防団詰所の再編整備を順次実施しております。
令和4年度は、第5分団の勝間田消防館の整備にかかる用地の購入及び設計業務を実施してまいります。
当市は、2020東京五輪において中国及びアメリカのホストタウン登録を通じて、両国の選手や関係者との交流を図り、五輪開催前にはアメリカサーフィンチームの事前合宿の受け入れを実現いたしました。今後はこの ホストタウンのレガシーを、沿岸部活性化やシティプロモーションに繋げてまいります。
大会後の交流継続として、東京五輪サーフィン競技金メダリストのカリッサ・ムーア選手を招き、子ども達との交流やサーフィン教室などを実施いたします。
情報発信手段の一つであるLINEにつきましては、LINEの公式アカウント取得以降、様々な場面で登録を呼びかけ、現在約17,800人にご利用いただいております。
LINEのメリットであるリアルタイムでの情報提供が可能なことを活かし、災害やイベント情報の発信、道路状況の通報などに活用しております。
また、RIDE ON MAKINOHARA のスローガンも定着してまいりましたので、静波サーフスタジアムや、スウイングビーチのワーケーションルームなどの民間施設とも連携し、交流人口の確保に向けた効果的な情報発信に取り組んでまいります。
水道事業につきましては、老朽化した施設の更新をはじめ、給水人口の減少や技術者の不足などにより、今後、厳しい経営 状況に陥ることが予測されます。
県の協力を得て、大井川右岸関係市との業務連携や共同化、最終的には事業統合により、安心安全な水道水の供給と安定経営の実現を検討してまいります。
令和4年度は、第2次総合計画の後期基本計画の最終年となるため、プロジェクトの実現に向け、限られた財源を最大限有効に活用し、更なる健全な財政運営に努めるとともに、ポストコロナ社会を見据えた対策を講じてまいります。
一般会計の当初予算額は、208億4千万円と前年度を15億6千万円上回る大型予算を編成して、多目的体育館の整備を本格化するとともに、保育園の民営化を開始し、相良牧之原インターチェンジ北側開発を着実に進めてまいります。
歳入につきましては、市民生活における新型コロナウイルス感染症の影響をうけつつも、市民税や固定資産税の回復が見込まれ、市税全体では、前年度より5億円の増収を見込んでおります。
普通交付税は、市税等の増収が見込まれるものの市民税法人税割の精算や公債費に係る基準財政需要額の増加等を考慮して、4億5千万円の増額を見込みました。
繰入金は、財政調整基金等からの繰入のほか、多目的体育館の整備に緊急地震・津波対策基金を充当することから11億円の大幅な伸びとなりました。
令和3年度には、14億円を超える臨時財政対策債の借入れなどにより、年度末の市債残高見込は219億円を上回るなど、懸念すべき状況も十分認識しておりますが、持続性のあるまちづくりを進めるため、新たな財源確保に努め、財政運営の健全化に取り組んでまいります。
以上、主要施策の概要を述べさせていただきました。
厳しい社会情勢や財政状況の中ではありますが、少子化や若者の減少などの課題に対応し、市政運営の持続性を確保できるよう、各プロジェクトの実施に全力で取り組んでまいります。
また、令和5年度から始まる第3次総合計画につきましては、これらの課題に対する戦略を掲げた計画とするよう策定を進めてまいります。
議会の皆さま、市民の皆さまの更なる御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、令和4年度の施政方針とさせていただきます。
令和4年2月24日
牧之原市長 杉本基久雄