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2月定例会の開会に当たり、令和7年度における施政方針について申し上げます。
2月18日に農林水産省が発表した茶生産統計において、本県の荒茶生産量が鹿児島県に抜かれ、1959年の統計開始から初めて2位に転落することとなりました。
日本一からの転落は大変残念でありますが、悲観するよりも、茶商、農業者、行政などが連携して、このピンチを消費者や市場ニーズに合わせた栽培方法等に転換する転機としていく必要があります。
私は、今後の茶業は質の高い深蒸し茶の販売促進、企業との契約栽培による安定需要の確保、有機栽培での碾茶や抹茶の輸出の3点が柱になると考えております。
若手生産者による新たな取組や、県と連携した榛原郡茶業研究会による有機栽培茶の勉強会開催など、農業者による主体的な取組機運も高まっています。担い手農業者の意向を反映した農業経営基盤強化促進法による地域計画の策定、基盤整備事業による農地集約化での生産性向上などを通じて、持続可能な農業に向けて取り組んでまいります。
令和7年度は、市制施行20周年を迎えるとともに、第3次総合計画前期基本計画の3年目の年となります。市の更なる発展に向けて様々な取組の成果を可視化し、賑わい創出や郷土愛醸成を通じた地方創生を実現するよう、今年の漢字に創出、創業、創造の「創」を掲げました。
当市の20年の歩みを振り返るとともに、市の発展に大きく前進する節目の年となるよう、重点戦略・プロジェクトを中心とした各施策の推進に全力で取り組んでまいります。
「戦略1 富士山型ネットワークの充実」についてであります。
高台、沿岸部の各拠点の活性化計画の具体化と、拠点を繋ぐネットワークの構築を通じて、当市の地理的な特性や、地域資源の強みを活かし、人を呼び込む魅力あるまちづくりを進めてまいります。
また、策定中の立地適正化計画の居住誘導区域及び都市機能誘導区域と、各プロジェクトとの整合を図り、安心安全で計画的な土地利用を進めてまいります。
暮らしの根幹となる安心安全の確保に向けましては、広域消防の管轄エリアの再編に伴い、令和8年4月に「牧之原消防署榛原出張所」を細江地区に開設し、地域住民の暮らしの安心安全を高めてまいります。
さらに、想定される津波被害から生命財産を守るため、引き続き、L1、L2堤防の整備、地頭方漁港海岸の防潮堤嵩上げ工事を進めてまいります。
東名高速道路相良牧之原インターチェンジ北側地区における高台開発につきましては、土地区画整理組合による商業・産業街区の造成工事が令和7年7月頃に完了し、年内を目途として、大和ハウス工業株式会社に全ての保留地の引き渡しを行ってまいります。
その後、令和9年度のまちびらきに向けて、同社との連携を通じた進出事業者の具体化や商業・産業施設の建築などを促進してまいります。
令和7年7月の開業を目指して整備中の「そらっと牧之原」につきましては、1 月31日に、国土交通省によって道の駅の登録がされました。
引き続き、関連施設の整備を進めるとともに、お茶、自然薯、レモン、海産物などの地場産品を活かした特色ある飲食メニューや、お土産、加工品などの商品開発を進めることで、市外からも当施設を目的地として多くの方が訪れるよう、地産地消を通じた地域の食文化や賑わいの拠点としてまいります。
沿岸部活性化につきましては、各海岸の特徴を活かし、通年での賑わいの創出ができる各地区のエリア構想を具体化してまいります。
静波地区につきましては、静波海岸や静波サーフスタジアムを核としたサーフィンエリアとしての強みを活かし、宿泊や飲食などを通じて、内外から多くの利用者を呼び込む地域とするため、進出意向のある事業者の調査などを進めており、その結果を踏まえ、実効性のある将来計画を地域の関係者とともに作成してまいります。
地頭方地区につきましては、地頭方海浜公園を有効活用したマリンスポーツやアウトドアなどの体験型アクティビティや、海産物などを中心とした食が楽しめる賑わいの場の創出に向けて、地域の関係者が3月にトライアルを行い、実施内容を踏まえた計画を策定してまいります。
相良地区につきましては、さがらサンビーチや相良港、田沼意次ゆかりの地などの豊富なコンテンツを有効活用し、「文化の海」の調査検討を進めており、令和7年度は、地域の特色を活かした計画の検討を関係者と協議、調整をしてまいります。
魅力あるエリア形成と合わせて、多くの人が集まるイベント開催などを支援し、交流人口の拡大と知名度の向上にも努めてまいります。
令和7年度は、国内最大級のサーフィン大会である公益財団法人日本サーフィン連盟主催の「全日本サーフィン選手権大会」や「パラサーフィンフェスタ」、「徳洲会カップサーフィン大会」など、市内外から人が集まる大規模なマリンスポーツの大会が開催されます。
また、4月から利用開始となる芝生化した相良総合グラウンドや、令和6年度にオープンしたGasOneアリーナ牧之原などを活用し、様々な大会やリーグ戦の開催、スポーツツーリズムを通じた誘客や賑わい創出による地域活性化を図ってまいります。
各拠点の連動性や利便性向上に向け、結節点となる高台エリア内の商業施設の整備に合わせて、新たなバス停を設置し拠点を結ぶ交通ネットワークの充実に努めます。新たな取組として、令和7年4月から、矢崎部品株式会社に協力いただき、同社ものづくりセンターが運行する菊川駅を往復する従業員送迎バスを利用して、空車となっている片道回送便の住民利用を開始する予定です。この取組は、今後の官民が連携した新たな地域交通の足掛かりとなるものであります。
また、デマンド乗合タクシーにつきましては、これまで市街地のみであった施設間の移動について、その他の地域でも利用可能とします。
富士山型交通ネットワークの充実に合わせて公共交通全体の改善を図ることで、取組の相乗効果を高め、生活や経済活動の利便性の向上に繋げてまいります。
次に「戦略2 ゼロカーボンと経済成長の好循環の実現」についてであります。
2030年度における温室効果ガス46%削減を見据えて実施中の様々な取組の成果を具体的に示し、脱炭素時代における新たな産業と生活環境を創出してまいります。
オーガニックまきのはら推進事業に関しましては、事業委託先のシンコムアグリテック株式会社が、令和7年1月に、バイオ炭を活用したJクレジットについて、国内3例目で県内では初となるJクレジット制度に基づくプロジェクト登録の認証を受けました。
これにより、Jクレジット制度による収益が農地や農業者に還元され、取組が循環する仕組みの構築に大きな一歩を踏み出すことができました。令和7年度も引き続き、「早生樹・バイオ炭部会」、「波乗りレモン部会」が3年後の事業化を目指した取組を推進するとともに、各部会が連携して、「荒廃農地の解消」と「地産地消のカーボンニュートラルの実現」を効果的に推進し、農業関係者や県、周辺市町を巻き込んだ当市発の次代を見据えた農地・農業改革として取組を拡大してまいります。
スタートアップの呼び込みにつきましては、「牧之原市チャレンジビジネスコンテスト」を通じて、3年間で累計273社から事業の応募があり、応募事業者の中からM-Weddings株式会社や株式会社ぐるわんなどが事業を開始しているほか、PLUXITYが昨年12月に日本法人を市内に設立するなど、市の産業に新しい風を吹かせる新事業が生まれており、県や周辺市町からも大変注目される取組となっております。
引き続き、企業や各団体、学校等と連携し、コンテストを通じてスタートアップを呼び込み、そのプランの実現に向けて支援することで、地域課題の解決と地域経済の活力の向上につなげてまいります。
中小企業の脱炭素化に関しましては、商工会や島田掛川信用金庫と連携し、国の支援制度の情報提供や、脱炭素化の啓発などを進めるとともに、市としても専門家による省エネルギー診断を支援しております。
大企業による取組は進んでおりますが、中小企業やサプライチェーンには、取組が浸透していないこともありますので、脱炭素によるコスト削減や取組の背景、必要性を周知し、中小企業が行う脱炭素化を支援してまいります。
また、住宅の脱炭素化に向けて、太陽光発電システムや蓄電池などの設備導入、ZEHの新築・改築に対し補助金を交付し、省エネ住宅の普及促進を通じて、住宅の脱炭素化に向けた選択をする市民が増えているため、引き続き、支援を継続し、住宅の脱炭素化の推進を図ってまいります。
地域経済においても、人手不足が課題となっている中、外国籍の従業員が増加していることから、外国籍住民との相互理解やコミュニケーションを円滑に行うため、年齢を問わず対話交流型で日本語や文化、生活習慣を学ぶ「はじめての日本語教室」を開講しております。
令和7年度は、SNSを通じた動画での分かりやすい生活関連情報の発信を増やすとともに、より充実した防災学習を実施してまいります。
さらに、日本語支援が必要な外国籍の児童生徒に関しましては、日本語初期支援教室「いっぽ」を通じて、小中学校への編入前に日本語や生活習慣などを学ぶ機会の確保を令和5年度から取り組んでおります。
日本人の友達ともコミュニケーションが取れることで、学習意欲も高まるとともに、運営事業者によって大学や企業との連携など特徴的な教育が導入されており、学校現場や保護者からも好評をいただいております。
外国籍住民の働き場となる企業からも、企業版ふるさと納税を通じた支援をいただき、さらに、企業や保護者、学校現場からも定員を増やすよう要望があるなど、ニーズに応えるため、令和6年度から定員を15人に増加いたしました。引き続き関係者とも連携して、外国籍の児童生徒の教育環境を整えてまいります。
公共施設につきましては、設備機器の運用改善をするなどして、照明・空調設備などの導入・更新時には省エネ性能の高い製品を導入し、省エネ化を推進するとともに、再生可能エネルギー由来の電力購入などによる脱炭素化を推進してまいります。
次に「戦略3 日本一女性にやさしいまちの推進」についてであります。
令和6年3月に策定した、「牧之原市男女共同参画推進計画」に基づき、行政、市民、事業所など関係機関と連携した施策の推進を通じて、誰もが輝く暮らし方、働き方の実現、子育てしやすい環境の充実を図ります。
子育て世帯の経済的支援につきましては、令和7年10月から入院時の食事代を助成対象とする医療費助成の拡充を行うことで、本市の子ども医療費が完全無償化となります。
また、令和6年度に支給対象の拡充や支給額の引き上げが行われた児童手当及び児童扶養手当をはじめ、市独自の入学支援金支給事業や、妊娠期から子育て期まで
「伴走型支援」と合わせた妊娠届出時及び出生届後の給付金など、様々な事業を通じて支援を行ってまいります。
不妊治療に関しましては、当市は令和4年4月から、先進医療の治療費を含めて助成をしており、不妊治療が保険適用となった後も、当市独自の制度として支援を継続しております。
令和4年度からの利用者の約7割が妊娠し、昨年度の出生者の約1割は先進医療を利用した人となっているなど、子どもを望む夫婦が継続して不妊治療を続けられる環境としての成果も表れています。
令和7年度も当支援に加え、妊娠に起因する疾病への医療費や、妊産婦の健診等への交通費の助成も行い、安心して妊娠出産ができる環境を確保してまいります。
こどもの居場所支援につきましては、榛原児童館の敷地内に「牧之原市こどもの居場所」が完成しましたので、生活習慣の形成や家庭学習の支援が日常的に難しい家庭のこども達に向けて、安心して過ごせる居場所及び放課後等における体験や活動の機会を設けてまいります。
また、令和6年10月の市議会文教厚生委員会による「こどもの未来をつくるための環境整備」の提言書の中で、こども食堂やこどもの居場所づくりに関する支援について提言を受けましたので、令和7年度から市内でこども食堂を実施する団体への支援を開始し、地域主体の活動によるこどもの居場所づくりについても、今後、支援策等の創設を進めてまいります。
子ども達の憩いの場、遊びの場となる公園につきましては、安全性、快適性の向上と共に、誰もが出かけたくなるような公園を目指して、引き続き、油田の里公園や勝間田公園などの整備を進めてまいります。
女性の活躍につきましては、女性が趣味や特技を活かしたスモールビジネス「月3万円ビジネス」の実施を支援しており、現在、第1期生、第2期生合わせて30人の卒業生が、スモールビジネスや共同でのイベント開催などを実践しております。連続講座を通じて、実践する女性をさらに増やすとともに、令和7年度は、公共施設や民間施設と連携した事業実施やイベント開催を進め、女性目線での暮らしの魅力に繋がるサービスを創出してまいります。
企業と連携した女性の働きやすい職場環境づくりにつきましては、取組の趣旨に賛同する市内の大手企業とネットワークを構築し、連携した取組の検討や共同研修の開催など協議しております。まずは、男性の育児参加や女性の健康づくりなどをテーマとして、若手社員向けの啓発事業を展開してまいります。
幼児教育及び保育におきましては、保育の質の向上及び保育士の負担軽減の視点から保育士を手厚く配置するための改善に取り組んでまいります。
令和6年3月に、牧之原市教育・保育施設等事故検証委員会から提出された報告書の提言を基に、保育士等への研修の充実や指導監査の実施等をはじめとした取組により、乳幼児を守り育てる場としての安全管理の向上に努めてまいります。
特に、非正規を含めて教育・保育施設等に関係する全ての人が、共通の認識を持って、日々の業務にあたるよう、個々の施設を含めた研修体制の確保を進めてまいります。
また、細江保育園が令和7年度から、牧之原市社会福祉事業団が運営する民間保育園として、新たに開設されます。引き続き地域と連携して安心安全な教育及び保育環境の確保に努めてまいります。
次に「戦略4 DXの推進」についてであります。
令和7年1月から始めたスマート窓口によって、各種証明書の交付申請の記入が無くなり、サービス開始後に実施した窓口アンケートでは「待ち時間・処理時間に対する満足度」において、約7割の方から満足との回答をいただきました。
今後、引越し関連やおくやみ関連の手続きにつきましても、市民の負担軽減に繋がるよう、さらにサービスの拡充に努めてまいります。
行政サービス向上や業務効率化を目指す、基幹システムの標準化につきましては、現在、システムが格納されるガバメントクラウドの環境構築を行っております。令和7年6月以降にシステムの移行作業を開始し、11月のシステム本稼働に向け、着実に準備を進めてまいります。
また、公共施設をより利用しやすくするため、施設予約システムを導入し、これまで施設の窓口で行っていた空き状況の確認や予約手続を、オンラインで行うことによって、24 時間いつでもどこでも予約できるようにいたします。
さらに、キャッシュレス決済による利用料の支払いや、パスワード等で開錠可能なスマートロックの採用により、利用者や管理者の手間を削減するとともに、公共施設の利便性向上に努めてまいります。
市民の消費環境に係る分野におきましても、市内店舗の消費喚起とキャッシュレス決済による利便性の向上に向け、「まきペイ」の利用を促進してまいります。
令和6年度に実施した還元キャンペーンなどを通じて、現在、市内登録店舗266店で買い物ができ、延べ約9,000名の利用がありましたが、令和7年度も国から交付される物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、物価高騰の影響を受ける市内事業者や市民に対する支援のため、還元キャンペーンの実施を予定しております。
また、妊産婦の経済的負担の軽減を図るため、出産及び産後の健康診査のための通院等に係る交通費につきまして、これまで商品券で助成しておりましたが、令和7年度から「まきペイ」を活用することとするなど、地域通貨として広く市民に利活用していただくよう、様々な事業との連携を進めてまいります。
教育のDXの推進につきましては、一人一台の端末を有効活用するためのソフトウェアとして、「学校向け生成AIサービス」を導入してまいります。
小学5年生から中学3年生までの授業における生成AIの市全体としての導入は、県内で初めての取組であり、意見の取りまとめや、疑問への対応をAIがサポートする伴走型ツールとして利用することで、個別最適な学びと協働的な学びに向けた効果的なDX活用により、問題解決力や創造力の向上に繋がる先進的な授業を進めてまいります。
令和2年度に導入した一人一台の学習用端末は耐用年数を迎えますので、県や県内市町と学習用端末を共同調達し、着実な学習用端末の更新を行ってまいります。
次に「戦略5 次代を切り拓く力を育む新たな学校づくり」についてであります。
令和6年1月に策定した「牧之原市義務教育学校施設整備基本構想・基本計画」に基づき、令和6年度から学校建設に係る業務に着手いたしました。
相良地域につきましては、学校用地と進入路の形状や敷地を確定するための造成設計を行い、榛原地域につきましては、学校施設の基本設計・実施設計、学校用地の造成設計及び既存施設の解体設計の業者をプロポーザル方式で決定し、令和8年度の業務完了に向けて設計を進めております。
令和7年度につきましては、両地域ともに用地取得を進めるとともに、相良地域につきましては、埋蔵文化財の発掘調査、榛原地域につきましては、仁田体育館及びアーチェリー場の解体と、令和6年度に引き続き、学校施設の基本設計及び造成設計を実施してまいります。
新しい学校の開校に向け、両地域とも、常にスケジュール感を持ち、着実に事業を進めてまいります。
5つの重点戦略・プロジェクトを中心とした取組推進には、その推進を担う人材が不可欠でありますので、企業等連携型地域おこし協力隊制度を活用し、民間事業の中でノウハウを習得することで活動の幅を広げ、隊員期間満了後も引き続き企業等で働き続けられる仕組みとしてまいります。
現在、6事業所で7人の隊員を募集しており、「地域を共に支えあっていく仲間」として、市、事業所、地域、隊員が連携し、荒廃農地の利活用、事業継承者育成などの市の課題解決に向けて、取り組んでまいります。
次に「当初予算の概要」についてであります。
令和7年度の一般会計の当初予算額は、247億5,000万円と前年度を30億5,000万円上回り、過去最大の予算規模となりました。
相良地区の義務教育学校建設事業に伴う用地取得やGIGAスクール構想事業に係る小中学生の学習用端末更新、牧之原消防署榛原出張所の開設事業などの取組が主な要因であります。
歳入につきましては、市内主要法人の設備投資の減少から固定資産税の償却資産の減額は見込まれますが、給与所得等の伸びや定額減税による影響の縮小、評価替えの終了などで市税全体では前年度より2億1,600万円の増収を見込んでおります。
税以外の収入としては、物価高により地方消費税交付金などは増額を見込みましたが、定額減税による減収分の補てんがあった地方特例交付金や、市税等の増収に伴い普通交付税は減額となっております。
国庫支出金は、児童手当拡充の通年化や自治体情報システムの標準化・共通化、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金、子どものための教育・保育給付交付金などにより6億7,800万円、県支出金は、小中学生の学習用端末更新や地域産業立地事業などで1億5,000万円の増額となりました。
ふるさと納税は、委託業者による事業計画から2億5,000万円増の7億円を見込んでおります。
財源調整として、財政調整基金から17億5,000万円、公債費の増加に対応するために減債基金から4億5,000万円の繰入金を計上しております。
市債については、相良地区の義務教育学校建設事業に伴う用地取得や牧之原消防署榛原出張所の開設、榛南水道の統合に係る出資金などの増額から28億6,000万円で、7年度中の償還額を差し引いた年度末の市債残高は、202億1,700万円を見込んでおります。
引き続き、持続可能なまちづくりを進めるため、新たな財源確保に努めるとともに、事務事業の見直しを図り、限られた財源を最大限有効活用し、財政の健全化に取り組んでまいります。
最後になりますが、先日、新規採用職員の研修の際に、市外からの転入職員から、当市の自然環境やサーフィン、訪れた際のイメージなどにより、当市への就職を選択したとの話を聞きました。
当市には様々な魅力があり、市制施行20周年の節目を迎えるに当たり、この地域に住む市民の皆さんが、当市の魅力や特色を再認識し、郷土への愛着をさらに高めてもらうとともに、多くの方に当市に来てもらうことを重要な視点として、20 周年記念事業を進めてまいります。
具体的には、「記念式典の開催」や、「全日本サーフィン選手権大会」、「全国花のまちづくり牧之原大会」など大型イベントの開催、「市民提案事業」の募集などのほか、4月19日には、相良総合センターい~らにて、NHK公開番組「ラジオ深夜便のつどい」の公開収録を実施いたします。
シンボルとなる「記念ロゴマーク」につきましては、多くの市民と一緒に検討を進めており、インターネットによる一般投票を経て、2月26日に結果を公表させていただきます。
また、この20周年の節目に合わせて、田沼意次侯が主要人物として登場するNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢 噺 ~」が1月5日から始まっております。
当市のシティプロモーションにとって千載一遇のチャンスであり、これを活かして、交流人口の拡大に繋げるため、「大河ドラマ展」と「田沼意次の新時代展」を1月26日にオープンいたしました。
大河ドラマ展を拠点とし、市内を周遊する観光アプリによる周遊ラリーや「ぶらり田沼の旅」などを開催するほか、将棋好きの意次侯にちなんで実施している「伊藤園お~いお茶杯王位戦」の誘致を進めてまいります。
積極的な産業政策等を通じて、国の経済を変革した意次侯の改革の姿勢を参考に、当市の地域活性化、地方創生を具体化し、まちの発展や持続性確保に向けて、大きく前進する一年としてまいります。
以上、主要施策の概要を述べさせていただきました。
議会の皆様、市民の皆様の更なる御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げ、令和7年度の施政方針とさせていただきます。
令和7年2月25日
牧之原市長 杉本 基久雄