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深蒸し茶発祥の地 牧之原
品質・生産量ともに全国的に知られている牧之原のお茶について紹介します。
温暖な気候と長い日照時間が良質なお茶の栽培に適しているため、市内には約2,610ヘクタールの茶園が広がっています。
主な品種は「やぶきた」ですが、最近は「つゆひかり」「さえみどり」など新たな品種の栽培にも力を入れています。
牧之原のお茶の特徴として、普通の煎茶よりも蒸す時間を長くした「深蒸し茶」が主流です。刈り取った茶葉を製茶する行程にある「蒸し」の時間を2~3倍長くすることで、通常の煎茶に比べてコクや旨みが十分に引き出されます。
深蒸し茶が生まれた理由は、牧之原地域で作られたお茶の弱点を克服するためでした。通常の蒸し時間で製茶すると、コクと旨みはあるものの苦渋味が残るお茶になってしまいました。そこで、製造行程の蒸し時間を長くすることによって、苦渋味を緩和させたまろやかな味わいのお茶ができあがったのです。
また、深蒸し茶製茶法は明治時代の手揉み茶製法に由来します。牧之原地域(現 牧之原市)で、明治時代の中期に誘進流の一派を興した戸塚豊蔵が考案した製茶法で、外観より香味を重視しています。他の流派より茶葉の蒸し時間を長めて、無理な力をかけず、形状は二の次にしたヨンコン型(茶の形が針状ではなく勾玉状)の製茶法を考案し普及したのが始まりです。お茶は最終的に浸出液を飲用するので、見た目や色沢を良くしたお茶より、外観は少し悪くても飲んでおいしいお茶を奨励しました。
つまり、今から約100年前にこの牧之原には既に深蒸し茶が存在していたのです。
「おいしいお茶が飲みたい」という思いが、深蒸し茶を現在まで受け継がせてくれました。深蒸し茶のまろやかな味わいは、リラックスしたい時に飲むと心を落ち着かせてくれますし、熱いお湯で少し渋めに出せば、甘いお菓子のお供にもなります。
こうしたお茶の良さを知ってもらおうと、牧之原市では「無料 お茶カフェ」プロジェクトを展開しています。市内にある茶専門店・茶工場の協力により、無料でおいしいお茶を出していますので、ぜひ牧之原の深蒸し茶を楽しんでください。