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「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案」における中部電力株式会社原子力本部長から市長及び幹部職員への報告について

中部電力株式会社浜岡原子力発電所3号機、4号機について、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査を受けていたところ、昨年5月から原子力規制庁による同社の基準地震動の策定に関する調査への対応を行い、浜岡原子力発電所の地震動評価における代表波選定が、審査会合での同社による説明内容と異なる方法や意図的な方法で実施されていた疑いがあることが確認されました。
以上のことから、令和8年1月14日、中部電力株式会社による「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案」について、同社執行役員原子力本部長兼原子力本部浜岡原子力発電所長の豊田哲也氏から、市3役及び幹部職員に対して、牧之原市役所榛原庁舎において報告がありました。
先ずは今回の不適切事案があったことに対し、「市長はじめ市民の皆様に対して、多大なる御心配、御不安をお掛けした事に大変申し訳ありませんでした」と謝罪がありました。
市長は、「今回の事案は今まで構築してきた信頼関係を壊す由々しき事態である。重要な基準地震動を操作していたとのことで弁明の余地がない。第三者委員会による早期の原因究明を求める。原子炉は止まっていたとしても、施設や使用済み燃料がある以上、安全安心をしっかり担保し、これまで以上に対応をしてほしい。また、今回の事案が発生したにも関わらず、市より要請がなければ今日の説明の場が無かった。そういった対応も不安に感じるため、誠意をもって対応をお願いしたい」と、同社に強く求めました。
今後、中部電力株式会社は、本事案について透明性、公正性を確保して事実関係及び原因の調査、再発防止策の検討等を行うため、同社との間に利害関係がなく独立性、中立性が阻害される要因がない第三者委員会を設置し調査を進め、当該調査に全面的に協力することとしています。
日時
令和8年1月14日(水曜日) 午前9時15分~午前10時
会場
市役所榛原庁舎5階庁議室
質疑応答【要旨】
質問1
これまで浜岡原子力発電所と周辺4市は、通報措置要領に基づき、些細な事案も含めて報道発表前に事前説明を受けてきた。しかし今回の事案は、地域の安心・安全に関わる非常に重要な内容であるにもかかわらず、事前説明がなかったことは極めて遺憾である。重大な事案であるがゆえに説明が遅れたのではないかとの疑念もある。現在、発電所は稼働していないものの、施設や使用済み核燃料は存在しており、基準地震動の観点から、南海トラフ地震発生時に安全性がどうなるのかが最も懸念される。現時点で説明できる範囲で、(1)実際の安全性はどうなのか、(2)事前説明が遅れた理由について、説明を求める。
中電回答
- これまで幅広い事案について、可能な限り事前に報告してきた。
- 本件は非常に重大な事案であり、本来は事前説明を行いたいところであった。
- 金融商品取引法により、株価への影響やインサイダー取引防止の観点から、証券取引所の「適時開示」が必要であった。
- 適時開示では、公表と同時に投資家・株主へ情報を一斉に伝えることが求められている。
- 本件は1月5日の午後4時に公表されたため、適時開示が可能となった時点で、速やかに行政へ説明を行った。
- 今後は、適時開示に該当しない案件については、引き続き迅速な報告に努める。
質問2
現状、浜岡原子力発電所は存在しているので、仮に南海トラフ巨大地震が今、発生した場合は原子力発電所は大丈夫なのか。
中電回答
- 原子力燃料は施設内に存在するが、震災後に策定した工事用地震動に基づき、主要設備の耐震性は確認済み。
- 現在重視しているのは、使用済燃料プールおよびその冷却設備の安全性。
- 燃料の安全確保には、使用済燃料プールへの継続的な注水が最重要。
- 多数の注水設備に加え、可搬型設備による人手対応も整備・訓練済み。
- 南海トラフ巨大地震が発生しても、現状において燃料の安全性は確保できると判断している。
質問3
今回の事案により、事業者の説明を容易に信用できない状況にあり、第三者委員会や規制庁を含めて、安全性を早期かつ厳格に確認していただきたい。特に基準地震動について、意図的に都合の良いデータが使われたとの説明が事実であれば、原子炉建屋自体に問題があるのではないかと考えてしまう。または大規模な補強が必要である可能性があるということ。
中電回答
- 現時点では聞き取り調査のみを実施している。
- 1人からは一定のプレッシャーがあった可能性が確認されている。
- プレッシャーの内容、心理状態、関与の程度は現段階では不明である。
- 今後、第三者委員会により詳細な調査を実施する予定である。
- 浜岡原発は稼働していなくても、核燃料がある以上リスクは残る。
- 第三者委員会とは別に、会社としても社内調査を早急に進める。
- さらなる安全性向上に努める必要がある。
質問4
今回の事案は、中部電力におけるコンプライアンスの脆弱さやガバナンスが十分に機能していなかったことを露呈したものと考えるが、社内規律の立て直しを含め、今後どのように改善していく考えか。また、本事案によって失墜した原子力事業への信頼をどのように回復していくのか。
中電回答
- 本件は、事業の根幹を揺るがしかねない重大な事案である。
- 第三者委員会を設置し、事実関係および原因を調査する。
- 社長をトップとする委員会を設置し、社外ガバナンス、コンプライアンス、組織風土の課題を洗い出す。
- 抽出した課題に対する対策を検討・実施する。
- 取り組みは原子力部門に限らず、全社的に進める。
- 調査・検討結果は速やかに報告する。
質問5
事前発表が難しいことは理解したが、プレス発表後に迅速に報告の機会を持つべきだと感じている。私には直接的な報告がなく、事務レベルでプレス発表の内容を説明したのでは不十分だった。市から催促をしないと今回のような機会が実現しなかったという点も残念に思っている。信頼の構築には長い時間がかかる、失うのは一瞬であり、その回復はなかなか困難であると考えている。
中電回答
- これまで信頼関係を築いてきたが、その信頼が損なわれたことに対して心から謝罪します。
- 今後は、我々から積極的にコミュニケーションを図りたいと思っている。
- 信頼関係の回復が重要であるとしつつ、今後は安心安全の確保に一層の取り組みを行っていきます。
- いただいた意見を心に留め、しっかりと対応する意向であり、引き続きのご指導もお願いしたい。
質問6
令和7年5月から10月にかけて原子力規制庁に外部通報があったとされている期間において、中部電力がどのような対応を行い、また原子力規制庁からどのような指示を受けていたのかを説明してほしい。
中電回答
- 令和7年2月に外部から公益通報があり、原子力規制庁は通報者への調査を5月まで実施していた。
- 中部電力は、5月に原子力規制庁から調査の指示を受けた。
- 10月末の面談で、委託先の報告書などエビデンス資料の提出を求められた。
- 提出資料の確認を進める中で、報告書内に問題の可能性がある記載を発見した。
- その後、関係者への聞き取り調査を実施した。
質問7
問題の古い資料を中電電力自身が確認したところ、これはおかしいということに気づいたのか。
中電回答
- 問題の資料に不審点があることに気づいた後、すぐに社内で協議を実施した。
- 社長を含めた協議の上、追加確認が必要と判断し、関係者への聞き取り調査を行った。
- 聞き取り段階での報告には慎重さが必要と考えたが、不適切な事案であることを重く受け止め、速やかな報告が必要と判断し、その結果、12月18日に規制庁へ説明・報告を行った。
- あわせて、今後の対応として第三者委員会の設置が必要と判断し、準備を進めてきた。
- 聞き取りは当社における当時この基準地震動の策定に携わってたものに聞き取りを実施している。
質問8
原子力規制庁の委員長が捏造だという話をされた。私も地域の方々の、特に技術者の方から、有り得ないんじゃないかという話を言われているが、どのような聞き取りをしていたのか。
中電回答
- 判断や選定の根拠となるエビデンスや、その確認方法については、現時点では十分に確認できていない。
- 今後、どこをどのように見て選んだのか、どのような方法で行われたのかを確認していく。
- その過程で、事実関係や当時の対応状況が明らかになると考えている。
- 第三者委員会の調査に対して、エビデンスの提示を行う。
- 必要に応じて、追加の証言や聞き取り調査も実施していく予定である。
質問9
工事中で原発は停止しており冷却できれば安全だという説明は理解するが、今回の案件を受け、その前提となっている「工事用地震動」の設定自体が本当に妥当なのかという不安が出てくる。そもそも工事用地震動とはどういう考え方で設定され、建物は安全と言えるのか。
中電回答
地震動評価には
(1)応答スペクトルに基づく手法(観測記録を基にした比較的簡易な方法)
(2)断層モデルを用いた手法(計算により多数の地震波を作る方法)
の2種類がある。
- 今回、不適切な取り扱いの疑いがあるのは(2)の断層モデル手法である。
- 工事用地震動は、(1)の応答スペクトル法による1つの地震動を用いて設定・確認している。
- これらの基準地震動については、規制委員会から「概ね妥当」との評価を受けている。
- 工事用地震動は基準地震動と一部異なるが、当時の知見に基づき設定し、耐震性を確認済みである。
- 今後は基準地震動が確定した上で、より厳密に安全性を評価していく考えである。
質問10
第三者委員会が技術者が入らず弁護士3名で構成されている点について、技術的検証よりも、なぜ事案が起きたのかという仕組みやコンプライアンス面を中心に検証する意図なのか。
中電回答
- 第三者委員会は弁護士3名で構成され、事実関係や原因・背景、コンプライアンス面を中心に調査する。
- 地震動などの専門的技術内容については、専門家有識者アドバイザーを引き入れる予定。
- 必要に応じて、第三者委員会が専門家を招聘し、その意見を参考に整理・検証を行う。
- これにより、弁護士中心の構成でも技術的事項への対応が可能になる。
質問11
昨年2月の公益通報以降、原子力規制庁とのやり取りが5月から続いていたにもかかわらず、社長や本部長がその状況を把握したのは10月から12月と遅かった。原子力部門内だけで情報が管理され、幹部を含む社内で十分に情報共有がされていなかったのか。
中電回答
- 本件は、令和7年2月に公益通報がなされたものである。
- 令和7年5月、原子力規制庁から公益通報案件であることを示された上で、調査を開始した。
- 通報者保護を最優先とする法令および原子力規制庁の厳格な指導により、情報共有は必要最小限の関係者に限定して対応した。
- 原子力本部長は、12月1日の就任後、12月3日に担当部長から報告を受けて本件を把握した。
- 社長についても、不適切事案の可能性があるとの報告を受けたのは12月初めであり、全体を把握したのは同時期である。
質問12
通報者保護の事情は理解できるものの、重要な事案を経営トップが把握せず、特定部門に任せきりだった点や、過去の不適切な工事発注を含め管理監督が不十分だったことは問題である。今後は社内ガバナンスを一層強化すべきではないか。
中電回答
- 指摘を重く受け止め、今後の対応に反映していく考えである。
- 議会対応や住民への説明についても、丁寧に行う必要があると認識している。
- 重大な事案を起こしたことを踏まえ、これまで住民説明に慎重になっていた面があった。
- 今後は、地域で開催される説明会等の機会があれば、積極的に出向いて説明したい考えである。

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