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明けましておめでとうございます。
市民の皆さまにおかれましては、新春を健やかにお迎えのことと、心からお喜び申し上げます。
昨年は、長引く新型コロナウイルス感染症の感染拡大や物価の高騰で、様々な対応が求められた1年となりました。
また、認定こども園「川崎幼稚園」において、悲惨な事故が発生してしまいました。この事故により、お亡くなりになりました園児のご冥福を改めてお祈り申し上げます。
この事故は、ご遺族はもちろんの事、日本中に大きな悲しみと憤りを与え、幼児教育・保育の信頼を失墜させました。
市といたしましては、『命を預かる』・『命を育む』という、本来の幼児教育・保育の理念に立ち返り、二度とこのような事案を行さないよう、子どもたちが安心安全に過ごせる環境づくりに取り組んでまいります。
一方、9月5日、6日の2日間にわたり、「平田寺」におきまして、将棋のタイトル戦「お~いお茶杯第63期王位戦第5局」を田沼レガシーとして誘致、開催いたしました。
藤井聡太王位が4勝1敗で豊島将之九段を退け、タイトルを防衛する瞬間に立ち会うことができました。
藤井王位は、令和4年を振り返って、この対局を最も印象に残った対局であったと総括しておりました。
また、10月のプロ野球ドラフト会議において、牧之原地区出身で、明治大学の村松開人選手が、中日ドラゴンズより2位指名を受け、入団が決まりました。牧之原市にとっては35年ぶりのプロ野球選手の誕生となりました。今後の活躍はもちろんの事、必ず球界を代表する名選手になってくれると信じております。市民の皆様と共に村松開人選手を応援してまいります。
さて、本年、牧之原市では「第3次総合計画」がスタートします。
まちづくりの理念を「RIDE ON MAKINOHARA 夢に乗るまち 牧之原」とし、将来都市像を「豊かな自然を活かした心豊かでアクティブな暮らしが実現できるまち」といたしました。
また、前期基本計画では5つの重点戦略・プロジェクトを位置付け、市の大きな課題である若者の減少に対応し、住む魅力、産み育てる地域の魅力を高める取り組みを行い、定住を促進し、持続性のあるまちづくりを実現してまいります。
まず、「富士山型ネットワークの充実」では、懸案となっておりました東名高速道路相良牧之原インターチェンジ北側の開発について、昨年10月に「牧之原市インターチェンジ北側土地区画整理組合」の設立認可申請を行いました。今月中には組合設立の認可を受け、設立総会が開催できる見込みとなりました。順調に進みますと8月頃には事業着手ができる予定です。
また、富士山静岡空港を活かしたインバウンド観光や交通ネットワークや周辺施設などと連携し、交流人口拡大の拠点となる道の駅「(仮称)さかべ」の整備を、坂部地区に進めてまいります。地場農産物の消費拡大や地域の観光資源を生かした地域産業の活性化や農業の6次産業化推進など、あらゆる世代が活躍できる地域の拠点として整備を進めてまいります。
次に、「ゼロカーボンと経済成長の好循環の実現」です。当市の基幹産業である茶業は、近年、茶価の低迷が続き耕作放棄地が増えており、この放棄地の削減や活用が課題となっております。対策として今年度から取り組む「オーガニックまきのはら推進事業」などを通じて、民間事業者が実施している、耕作放棄地の利活用に対する実証実験について引き続き支援を行ってまいります。
また、昨年は市内の地域資源を活用した新たなビジネスプランを募集する「牧之原市チャレンジビジネスコンテスト」を実施し、国内外の91社から当市の地域資源を活用したビジネスプランの応募がありました。
大賞を受賞した事業をはじめ、市内での事業や起業を支援し、スタートアップを当市の力としてまいります。
昨年10月に着工を開始した多目的体育館については、スポーツ、防災、交流などの複合的機能を持つ施設として整備するとともに、ゼロカーボンに自治体が率先して取り組むことを示す先導モデル施設として、エネルギー消費量を省エネ設備等により50%以上削減する「ZEB Ready(ゼブ・レディ)」での整備を進め、効率的で持続可能な運営のモデル施設としての整備を進めます。
さらに、子育てや子どもの教育に対する魅力を高めるため、出産や育児に係る経済的な支援の充実や、子育てと仕事を両立できる働き方の支援、保育サービスの充実による「日本一女性にやさしいまちの推進」取り組むとともに、魅力ある教育環境の実現に向けた「次代を切り拓く力を育む新たな学校づくり」を進めてまいります。
学校再編計画において、市内に新しく2校を設置する義務教育学校の候補地については、昨年8月より学校用地候補地選定委員会において検討を続けていただき、榛原地域においては榛原中学校及びその周辺、相良地域においては大沢インター北側周辺が候補地として提出され、市教育委員会に承認されました。市といたしましては、通いたい、通わせたいと思われる魅力的な学校再編の実現に向けて、全庁体制で取り組んでまいります。
また、行政サービスの改革など、社会経済環境の変化に対応した「デジタルトランスフォーメーションの推進」により、行政手続きのオンライン化や窓口業務のデジタル化を進め、利便性の高い市民サービスを提供してまいります。更に、全ての市民がデジタル化の恩恵を受けられるよう、誰も取り残すことのない環境の整備を目指していきます。
最後に、リニア中央新幹線建設工事静岡工区の問題につきましては、JR東海、国土交通省鉄道局が事務局を務める有識者会議、県の専門部会が協議を行っているところですが、3者の見解がかみ合わず、流域住民に大きな不安を感じさせる状況が続いております。静岡県とJR東海、国との協議が市民の安心安全の確保につながるよう、流域8市2町が一丸となって取り組んでまいります。
今年の干支“癸卯(みずのとう)”は、寒気が緩み、萌芽を促す年と伝えられ、停滞した世の中に希望が芽吹き、花開く助走の年となると言われています。
私たちの生活は、コロナ禍や稀にみる物価の上昇など、大変厳しい寒気が続きました。この寒気が緩み、魅力と活気にあふれた牧之原市が花開き、本年が新たな始まりの年となりますよう、全力でまちづくりに邁進していまいります。
結びに、市民の皆さまが活力にあふれ、笑顔が輝く、希望に満ちた一年になりますよう心からお祈り申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。
令和5年1月4日
牧之原市長 杉本 基久雄