○牧之原市環境基本条例

平成20年3月28日

条例第15号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第9条―第23条)

第3章 環境審議会(第24条―第26条)

附則

私たちの牧之原市は、恵み豊かな駿河湾と日本一の大茶園を育む肥沃な牧之原台地に抱かれ、遠く富士を望む白砂の海岸線や人の暮らしと自然が調和した里地・里山など、美しい景観と良好な環境を有して発展してきました。

しかし、都市化の進展や社会形態の変化に伴い、このような潤い豊かな環境が徐々に失われつつあります。

また、物質的な豊かさや利便性を追求してきた現代の生活は、資源の大量消費と廃棄物の大量排出をもたらし、環境に多大な負荷を与え続けています。そして今日その影響は、自然の持つ回復再生能力や浄化能力を超え、地球温暖化や天然資源の枯渇といった未来を揺るがす問題へと拡大しています。

私たちは、良好な環境を等しく享受する権利を有するとともに、長い歴史の中で培われてきたかけがえのない環境の恩恵を次世代へと引き継ぐ責務を有しており、すべての者が今日の環境問題を共通の課題として受け止め、持続可能な循環型社会を構築するために、それぞれの日常活動や事業活動において、自ら又は互いに協働して環境への負荷の低減に積極的に取り組まなければなりません。

本市は、「うみ・そら・みどりと共生するまち」を将来都市像の一つとして掲げ、自然と共生する暮らしの推進や人にやさしい環境づくりに努めているところであり、その実現には市、市民及び事業者の一丸となった環境行動が不可欠です。

このような認識の下に、私たち牧之原市民は、健全で良好な環境を保全し、未来へと継承できる美しく豊かなふるさとを創造することを決意し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、市の自然的社会的条件に応じた施策を総合的かつ計画的に推進し、もって良好な環境を実現し、現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全及び創造 公害その他の人の健康又は生活環境に係る被害の防止や自然の恵みの確保等に止まらず、水や空気、そこに生息する動植物等の自然の構成要件を有効に活用することにより、環境にやさしく、潤いと安らぎを感じる快適な生活空間を創り出すことをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係にある財産並びに人の生活に密接な関係にある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(5) 環境の状況 大気、水、土壌、動植物等に関する状況、公害、有害化学物質等の発生又は測定の状況等に係る本市の環境に関する現況をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健康で文化的な生活を営む上で必要となる良好な環境を保全するとともに、その環境が将来に渡って享受できるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、すべての者が、環境への負荷の少ない持続可能な社会を構築することの重要性と責務を認識し、それぞれの公平な役割分担の下で自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、郷土の多様な風土と文化を継承しつつ、人と自然との健全な共生が確保されるように推進されなければならない。

4 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球環境と密接に関わっていることを認識し、地球環境の保全に資するため、すべての日常生活及び事業活動において行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、本市の特性を踏まえた環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、市民及び事業者並びにこれらが組織する団体(以下「市民等」という。)の参加及び協力を促進し、その意見を聴取し、及び反映するように努めなければならない。

3 市は、自らの事務及び事業の実施に当たっては、率先して環境への負荷の低減に努めなければならない。

4 市は、市民等が環境の保全及び創造のために行う活動を支援し、及び協力する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、環境の保全上の支障を防止するため、資源の循環的な利用、電気、燃料、水等の使用の節減、廃棄物の減量等を図ることにより、日常生活に伴う環境への負荷の低減に自ら努めなければならない。

2 市民は、地域の特性に応じた環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、その事業活動に伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることにより生ずることとなる環境への負荷の低減に資するため、再生資源その他の環境への負荷の少ない原材料、役務等の利用等に努めるとともに、製品その他の物が廃棄物となった場合において適正な処理が図られることとなるように必要な措置を講ずる責務を有する。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、環境への負荷の低減その他の環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(滞在者の責務)

第7条 滞在者は、本市の区域における活動に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(協働の責務)

第8条 市、市民及び事業者は、環境の保全及び創造に資するため、互いの立場及び特性を尊重し、対等及び公平な関係の下で、互いに協働するよう努めなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の基本的な指針)

第9条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次の各号に掲げる事項の確保を旨として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行うものとする。

(1) 大気、水、土壌等を良好な状態に保持することにより、健康で安心して暮らせる生活環境が保全されること。

(2) 生物の多様性を確保するとともに、森林、農地、水辺等における多様な自然環境が、地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全されること。

(3) 里山、浜辺等の保全と活用を図ることにより、人と自然との触れ合いが保たれ、潤いと安らぎを感じることのできる空間が創出されること。

(4) 良好な景観及び歴史的文化的な環境を保持することにより、良質で文化的な生活環境が形成されること。

(5) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等を促進することにより、環境への負荷が低減されること。

(環境基本計画)

第10条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、環境の保全及び創造に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第24条に規定する牧之原市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(計画等の策定への市民等の参加)

第11条 市長は、次の各号に掲げる計画等の策定に当たっては、市民等の意見を反映するよう必要な措置を講ずるものとする。

(1) 環境基本計画

(2) 環境保全行動指針

(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認めるもの

2 前項の規定は、同項各号に掲げる計画等の変更について準用する。ただし、軽微な変更についてはこの限りでない。

(諸事業の立案等に当たっての配慮)

第12条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる事業を立案し、及び実施するに当たっては、環境基本計画及びエコアクション21(市が実施する環境マネジメントシステムをいい、環境保全に関する方針、目標、計画等の策定及びその達成に向けた実行、記録、点検、見直し等の一連の行動をいう。)との整合を図り、環境の保全及び創造について配慮しなければならない。

(教育及び学習の推進等)

第13条 市は、市民等が、環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、その活動意欲が増進されるように、環境に関する教育及び学習の推進、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第14条 市は、市民等が自発的に行う資源の有効活用、生活排水の浄化、緑化の推進等の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、指導、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第15条 市は、市民等の環境に関する学習及び自発的な活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関する必要な情報を提供するように努めるものとする。

(規制等の措置)

第16条 市は、環境の保全上の支障を防止するために必要と認めるときは、地域の特性を踏まえ、影響及び効果を考慮し、規制、指導その他の必要な措置を講ずるものとする。

(環境の保全に関する協定)

第17条 市は、環境の保全を図るために特に必要があると認めるときは、市民等が実施する環境の保全に関する措置について、市民等との間に公害の防止その他の環境の保全に関する協定を締結し、その履行を確保するものとする。

(指導、勧告等)

第18条 市は、良好な環境に対する侵害又は侵害のおそれがあると認められるときは、これを防止又は排除するため、その原因者に対し、説明、報告等を求め、必要な指導、助言及び勧告を行うことができる。

2 市は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その旨及びその勧告の内容を公表することができる。

(監視体制等の整備)

第19条 市は、環境の状況を把握するために必要な調査、監視等の体制の整備に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第20条 市は、市の各機関相互の連携を図り、環境の保全及び創造に関する施策を総合的に調整し、及び推進するための体制を整備するものとする。

(国、県及び他の地方公共団体との協力)

第21条 市は、環境の保全及び創造に関する広域的な取り組みを必要とする施策については、国、県及び他の地方公共団体と協力して推進するように努めるものとする。

(地球環境の保全の推進)

第22条 市は、地球の温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全に関する施策を、関係行政機関及び民間団体等と連携を図りつつ、積極的に推進するものとする。

2 市は、地球環境の保全に関する市民等の自発的な行動を助長するとともに、協働による施策を推進するものとする。

(環境の状況等の公表)

第23条 市長は、毎年、環境の状況並びに環境の保全及び創造に関する施策の実施状況を取りまとめた報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 環境審議会

(設置及び所掌事務)

第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、牧之原市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) 環境の保全及び創造に関する基本的事項及び重要事項に関すること。

(2) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、他の法令の規定により、その権限に属する事務

3 審議会は、前項に掲げる事項について市長に意見を述べることができる。

(組織及び任期)

第25条 審議会は、委員15人以内で組織する。

2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 市民

(3) 事業者

(4) その他市長が必要と認める者

3 委員の任期は2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(委任)

第26条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。

(牧之原市環境審議会条例の廃止)

2 牧之原市環境審議会条例(平成17年牧之原市条例第25号)は、廃止する。

牧之原市環境基本条例

平成20年3月28日 条例第15号

(平成20年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 生/第2節 環境衛生
沿革情報
平成20年3月28日 条例第15号